製品開発に関する公的支援を探しても、制度名が多く、自社の計画とどう結び付ければよいか迷うことがあります。先に確認したいのは、補助金の名称ではなく、今回の取組の目的と開発段階です。新製品の開発、新市場への進出、大学等との共同研究、量産や検査の人手不足への対応では、確認する制度が変わります。
このページでは、2026年7月30日に確認した公式情報を基に、制度を探す順序と相談前に整えておきたい情報を案内します。金額、補助率、公募期限などは変更されるため、候補を絞った後に最新の公募要領を確認してください。
なぜ補助金名より先に開発段階を分けるのか
同じ「製品開発」でも取組の目的が異なるから
新しい製品やサービスを形にする取組と、既存事業とは異なる市場へ進む取組では、事業計画で説明する内容が異なります。大学や公設試験研究機関等と進める研究開発には共同研究としての確認事項がある一方、量産や検査の人手不足を減らしたい場合は、設備導入やシステム構築が中心です。
制度名から探し始めると、自社の目的と制度の対象を十分に照合しないまま、申請できると思い込むおそれがあります。まず「何を実現したいか」を分けることで、読むべき公式情報を絞れます。
開発の進み具合によって必要な準備が変わるから
構想段階では、顧客の課題と事業の狙いを言葉にする必要があります。試作前なら、要求仕様や検証項目、外部へ依頼する成果物を決めることが先です。量産準備へ進む段階では、製造方法、検査方法、品質条件なども確認対象になります。
契約や発注を始められる時点も制度ごとに異なります。外部の支援会社へ相談するときは、制度の候補だけでなく、現在の開発段階と発注予定時期も共有できるようにしておきましょう。
開発の目的別に確認先を比べる
| 現在の状況 | 最初に確認する制度・窓口 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 新製品・新サービスの開発や新市場への進出を考えている | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 取組の目的に応じた枠があるため |
| 大学・公設試等との共同研究を考えている | Go-Tech事業、公設試験研究機関 | 共同研究の公募状況と技術面の相談先を分けて確認するため |
| 量産や検査など、製造現場の人手不足を改善したい | 中小企業省力化投資補助金 | 製品そのものの研究開発と、社内の生産体制への投資を分けるため |
| 国や自治体の制度を広く探したい | Jグランツ、ミラサポplus、J-Net21 | 国の公募状況と地域の支援情報を横断して確認するため |
| 事業計画、試験・分析、知財について相談したい | よろず支援拠点、公設試験研究機関、INPIT知財総合支援窓口 | 補助金以外の相談先も含めて検討するため |
製品開発に関係する主な制度を確認する
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
この制度には、技術的革新性のある新製品・新サービスの開発、既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出、海外市場開拓に向けた国内体制の強化を対象とする枠があります。枠ごとに対象事業、要件、対象経費が異なるため、製品を開発するという理由だけで対象になるとは判断できません。自社の計画に近い枠を確認し、最新の公募要領と照合してください。
Go-Tech事業
Go-Tech事業は、中小企業者等が大学・公設試験研究機関等と連携して行う研究開発、試作品開発、その成果の販路開拓を支援する事業です。令和8年度の受付は終了し、追加採択の予定がないことが公表されています。共同研究を検討している場合は、過去の条件をそのまま当てはめず、次回公募の有無を中小企業庁の情報で確認してください。
参考:中小企業庁「令和8年度 Go-Tech事業の採択結果」
中小企業省力化投資補助金
量産、物流、検査などの人手不足が課題なら、中小企業省力化投資補助金も確認先になり、登録された汎用製品を選ぶカタログ注文型と、現場に合わせた設備導入やシステム構築等を検討する一般型があります。自社が販売する新製品の研究開発と同じものとして扱わず、生産や検査の流れをどう変えたいのかを明確にしてから確認してください。
参考:中小企業省力化投資補助金
Jグランツ・ミラサポplus・J-Net21を使い分ける
国や自治体の制度を探すならJグランツ
Jグランツでは、キーワードや業種から国や自治体が提供する補助金を検索できます。対応する制度ではGビズIDを利用してオンライン申請できますが、すべての制度や手続に対応しているわけではありません。候補が見つかったら、実施機関が公開する詳細へ進んでください。
参考:Jグランツ
国の主な公募状況を見るならミラサポplus
ミラサポplusは、中小企業庁が運営する中小企業向け補助金・総合支援サイトです。国が実施する主な補助金の公募状況を一覧で確認できます。制度の対象になるかどうかは、一覧だけで判断せず、個別の公式ページと募集要件で確かめてください。
参考:ミラサポplus
地域の支援情報も探すならJ-Net21
J-Net21の支援情報ヘッドラインでは、国や自治体等の補助金、助成金、融資、イベントなどを、地域、種類、分野、キーワードから検索できます。地域独自の候補が見つかったら、対象地域、申請条件、受付状況を実施機関の公式ページで確認してください。
補助金以外の公的支援も確認する
事業の方向を相談するならよろず支援拠点
よろず支援拠点は、国が全国に設置する無料の経営相談所です。中小企業・小規模事業者等の経営上の相談に対応し、商品開発も相談例に含まれています。制度を選ぶ前に事業の狙いや顧客像を整理したい場合の相談先になります。
参考:よろず支援拠点全国本部
技術相談や試験・分析なら公設試験研究機関
各都道府県の公設試験研究機関では、中小企業への技術相談や助言を行っています。依頼試験・分析、技術情報の提供、講習会等を行う機関もあります。利用できる設備や試験、費用、予約方法は機関ごとに異なるため、所在地の機関へ確認してください。
技術開示前の知財相談ならINPIT
INPIT知財総合支援窓口では、アイデア、技術、ブランド、デザイン等について、知的財産の面から相談できます。製品の構想や技術情報を外部へ伝える前に、権利化、秘密保持、成果物の扱いを検討したいときの確認先です。
公式情報を確認する5つのステップ
Step 1|取組の目的を決める
新製品・新サービスの開発、新市場への進出、共同研究、社内工程の省力化のうち、今回の計画に最も近いものを選びます。
Step 2|現在の開発段階を言葉にする
現在地は、企画、要件定義、試作、評価、量産準備のどこか。完了した工程と、これから着手する工程を分けます。
Step 3|外部へ依頼する内容と成果物を決める
調査、設計、試作、試験、量産準備など、外部へ依頼する範囲と、納品を求める図面・仕様書・試作品等を明確にします。
Step 4|契約・発注・支払いの予定を確認する
支援会社へ相談する時期と、契約や発注を予定している時期を分けて記録します。着手できる時点は、候補制度の公募要領が確認先です。
Step 5|対象公募回の要領を読む
公式資料で確認する項目は、対象者、対象事業、対象経費、実施期間、事業計画、申請方法、採択後の手続です。不明点は実施機関の窓口へ問い合わせます。
開発支援会社へ相談する前にそろえたい情報
補助金の候補だけを伝えても、支援会社は開発範囲や成果物を判断できません。初回相談の前に、次の情報をまとめておくと、相談先を比較しやすくなります。
- 製品で解決したい顧客の課題
- 現在の仕様、図面、試作品の有無
- 自社で行う工程と外部へ依頼したい工程
- 必要な試験、認証、品質条件
- 希望する成果物
- 発注を予定している時期
- 社内で確保できる予算と自己資金
- 知財や秘密保持について確認したいこと
製品開発の補助金・公的支援に関するよくある質問
製品開発なら、最初にどの補助金を見ればよいですか
製品開発という言葉だけでは制度を選べません。新製品の開発、新市場への進出、共同研究、生産や検査の省力化のどれに近いかを分け、Jグランツやミラサポplus等で候補を探します。その後、各制度の最新資料で自社の計画と照合してください。
試作費や外注費は補助対象になりますか
対象経費の区分に該当するように見えても、計上した費用が認められるとは限りません。申請する公募回の要領には、対象事業との関係、経費区分、必要な証拠書類、契約時期等が示されています。
申請前に支援会社へ相談してもよいですか
相談と契約・発注は分けて考える必要があります。制度によって補助対象となる事業を開始できる時点が異なるため、相談時には発注予定時期も伝え、契約や発注の前に対象公募回の規定を確認してください。
Go-Tech事業には現在応募できますか
2026年7月30日時点で、令和8年度の受付は終了し、追加採択の予定がないことが公表されています。次回公募が行われるとは限らないため、中小企業庁の公募情報で最新状況を確認してください。
省力化投資補助金は新製品の研究開発に使えますか
自社が販売する新製品の研究開発資金と決めつけないことが大切です。中小企業省力化投資補助金は、人手不足に対応する省力化投資を支援する制度です。量産、物流、検査等の社内工程にどのような課題があるかを基に確認してください。
GビズIDは必要ですか
Jグランツのオンライン申請ではGビズIDを利用します。ただし、必要なアカウントや申請方法は制度ごとに確認が必要です。候補制度の公式ページで準備事項を確かめてください。
自治体の支援制度はどこで探せますか
Jグランツでは国や自治体の補助金を検索でき、J-Net21の支援情報ヘッドラインでは地域や分野から候補を絞れます。対象地域、条件、受付状況は、候補を掲載した自治体や実施機関の公式ページが最終の確認先です。
採択されたら、すぐに補助金を受け取れますか
採択、交付申請、交付決定、事業の実施、実績報告、支払いは同じ段階ではありません。制度ごとに手続が異なるため、採択後の流れまで公募要領で確認してください。
目的・工程・支援会社の順に比較する
補助金は、開発の目的や工程を曖昧にしたまま進めるためのものではありません。まず自社の課題と現在地を明らかにし、公式情報で制度の条件を確認したうえで、外部へ依頼する工程と成果物を決める必要があります。
何を相談すべきか迷っている場合は、課題から相談先を探すページで現在の悩みに近い入口を確認してください。企画から量産までの進め方は、製品開発の工程を確認するページでたどれます。依頼したい工程が決まったら、製品開発支援会社を比較するページから、対応範囲と相談時の確認事項を見比べてください。
迷ったらここから比較
売れる製品づくりを前に進める
目的別・製品開発コンサル3選
相談したい工程に近い3社から、詳細ページと公式情報を確認できます。
作りたいものを機能・仕様・工法に落としたいなら
トヨタのモノづくり支援サービス
大口顧客や社内からの要望を、メーカーに伝わる要件・QCD・工法条件へ整理したい企業向け。
- 要件定義・構想設計から、メーカーに渡せる条件へ整理しやすい
- QCD観点での工法検討やメーカー選定まで相談しやすい
- 大口顧客や既存顧客の個別仕様を製品化したい場面向き
自社技術を活かした次の売上の柱を見つけたいなら
JMAC 新商品開発コンサルティング
既存製品の延長にとどまらず、市場・社会ニーズと技術起点から新商品テーマを検討したい企業向け。
- 新商品アイデア創出、技術棚卸し、市場調査を上流から整理
- 技術起点と市場・社会ニーズ起点の両面でテーマを探索
- 検証・実行計画・プロジェクト推進まで確認したい場面向き
試作品を量産・品質・認証まで進めたいなら
AMTC
試作品を量産仕様へ近づけ、品質評価・認証・法令対応・原価まで見据えて商品化したい企業向け。
- 試作品を量産仕様・品質評価・認証へ進める相談先
- 設計見直しや部材適正化など、量産前の課題を確認しやすい
- 原価・法令対応・販売後改善まで見据えたい場面向き